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ケーキ、ケーキ♪&頂き物 PART7

一日フライングですが、今日はひな祭りケーキを買ってきました♪
買ってきました・・・じゃなくて買って頂きました、が正解ですね。
おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとうございます~。
孫には弱いじじとばばです(笑)。いつもすみませんm(_ _)m。
私はおこぼれをいただきますっv

ここ数日、冷たい物が歯にしみるんですよ・・・。
治療済みの歯がどうも気になるのです。
ヤバイ、また歯医者行かなくちゃならないのか・・・?嫌だよぉっ。
カルシウム不足かな、歯がやせてきてる気がする・・・。
子供に栄養とられるので仕方ない部分もあるのですが。
歯医者、嫌いです(T^T)。

さて、今日は水谷ゆか様から頂いた、相互リンク記念小説を載せたいと思います~♪
少し長いので、続き表示の方に載せてはとのアドバイス採用しますので、興味のある方はどうぞ~。
青春時代の葛藤描写が上手く描かれておりますv
水谷さん、ありがとうございました!!
では、いってみましょうっ(笑)
はじめての帰り道

 平日は毎日のように繰り返される授業が終わって今日は部活動も休みだから久し振りに好きな時間に当てようと思って私は子供みたいに内心わくわくしながら急ぎ足で生徒玄関を出て家に帰ろうとしていた矢先、外にはぽつりぽつりと雨が降り始めていた。
 今日は朝から曇りが全体を覆っていつ雨が降っても可笑しくない雰囲気を漂わせていたが、何もこんな時に降らなくても、と私は思った。本当に運がない、としかいいようがない。この時までは確かに雨が降って外を濡らそうとはしていなかったのだ。
 呆気にとられている私を尻目に、雨は降り止まずにぽつぽつと静かに建物を濡らしてはアスファルトもまた濡らしていく。目の前の光景は見る見る新たなる色に染まっていき、ひんやりとした空気が頬を撫でてくる。雨によって外の気温はより下がってしまう。
 私はさり気なく辺りを見渡した。ここは生徒なら誰もが利用する生徒玄関であるし、このように全ての授業が無事終わった今では校内に残らずに帰ろうとしていた生徒の姿が何人か見掛けたが、その中には私と同じように立ち止まって困惑の色を浮かべる生徒もいれば傘を手にして何事もないようにこの雨の中を帰っていく生徒の姿もあった。
 ここで傘を手にしていれば何もあともう一歩のところで立ち止まる事もなかっただろうが、最悪な事に私はこの雨に対抗できる唯一の傘を持ってきてなかった。だから傘を差していなければ当然身体は濡れるといった発想に結び付く。下手したら風邪すら引きかねない。このまま学校で大人しく待っていたにしても自然は人間以上に気分屋でもある以上、いつ止んで静まってくれるのかも判らないし、かといって何もしないこの間の時間など一秒も無駄にはしたくなかったからここは濡れるのも覚悟の上で私は強くなろうとしている雨の中に飛び込もうとしたら不意に後ろから突然腕を掴まれてそのまま引き寄せられた。
「きゃっ」
 思い切り引っ張られて身体ががくんとなった私はバランスを崩して後ろに倒れそうになったが、幸い尻餅を突く事もなく背中にはクッション代わりみたいに固い何かにぶつかる。
「馬鹿じゃないの?自ら好んで風邪でも引く気?」
 そこには呆れた少し怒りも混じった声が私の耳に入ってきた。
 傘を忘れてしまっても自分の時間を優先させて無謀にも新たな世界に飛び込もうとしていた私を決して見逃さずに引き止めてきた人物を初めて見た時、私は胸が高鳴った。
「綾瀬(あやせ)、くん……」
 私よりも首一個飛び出していてすらりと長く伸びた長身の彼から視線を逸らす事が出来なかった私は一瞬で身体の熱が上がった。外の気温で体温が少しずつ下がる筈が今は上昇傾向にある。普段、遠くから彼を見ている分には何ら問題はないというのに、このように近くで彼と一緒にいるだけで私の身体はパニックとなって制御不可能となってしまう。
 綾瀬くんの存在自体が私を困らせる元となっているなんて彼自身は全く知る由もないだろう。私はさっきから大変なのにこのように平然と私を見ている彼が時々少々憎たらしくも感じてしまうが。現に私達の間には明らかに激しい温度差を感じてしまっているから。こっちはもう外から心臓が飛び出しそうなぐらいにドキドキしっ放しになっているのに。
 今では自分の身体が熱くて仕方ない。この一週間、私は彼を見る度にドキドキしていた。一瞬視界に過ぎっただけでもこの小さな胸が過敏な反応を示すから余程重症な状態だった。
 丁度一週間前に今でも夢みたいな出来事が現実として起こったから。まさかその場であのような返事を貰う事になろうとは思ってもみなかったから。どちらかといえば貰った返事とは逆のものだと私はすっかりそう思い込んでいたのに、そこには思い掛けない返答が待っていたから。友達でさえも驚いたぐらいなのだ。それだけ驚くべき事態が発生した。
「…………………………」
「…………………………」
 胸がドキドキとしながらもじっと見詰めている私の視線に気付いた綾瀬くんは一方で私が再び外に飛び出さないようにしてずっと掴んでいた腕を離してきた。
「……片桐(かたぎり)さん、もしかしてこの雨の中、帰ろうとしていたのか?」
 私から視線を逸らして綾瀬くんは今のところ止む気配のない雨に視線を送る。ついさっき降り始めたばかりの雨は一度降り出すと一気に激しさを増していった。もしも綾瀬くんがここで止めなければ私は普通に外に飛び出していただろうし、今頃私の身体は肌にまで感触が伝わる程のびしょ濡れとなって家に帰った時には大変な事になっていたのかもしれない。そういった点では綾瀬くんに感謝すべきだが、それにしても緊張する。
「…うん。だっていつ止むのか判らないし」
「だからって傘も差さないで飛び込むのは無謀だと思う」
「それは私も解っているわ。でもね、だって、傘、ないもの」
 私はくすっと寂しく笑った。今のところ私の手元にあるものは学校に行く際に持ってきている鞄のみ。生憎鞄の中には傘よりも小さめな折り畳み傘などは当然入っていない。
 日傘じゃなければ普通の傘は晴れている日になると余り重宝はされないが、このように雨の日になると傘を差せば腫れの日と同じく当たり前のように普通に外を歩ける重要なアイテム。それがないから私は困っている。初めからあれば私だって何も苦労はしない。
「それは俺も知っている」
 ふっと綾瀬くんが小さく笑ってきて、私の胸の鼓動は一気に速まった。激しく動きまくって運動をした後みたいに落ち着かない。もう何もかも制御不能となっているこの身体。本当に外までこの音が漏れてしまいそう。私は綾瀬くんに大きくなりつつある音色を聞かれたくなくて咄嗟に鞄を胸に当てて隠した。綾瀬くんの存在は本当に心臓に悪い。
 一週間前まではまず有り得なかった会話。多分あの日まで綾瀬くんは私の存在なんかこれっぽっちも知らなかっただろうし、クラスも今まで違ったのだから当然といえば当然だったりもするが、少しでも繋がりがなければこのように話し掛けられるなんて事もなかっただろう。ここで私が困っていても今頃何もなかったみたいに帰っていたのかもしれない。
「傘がないのなら片桐さんをここに残しておく訳にもいかないし、家まで送っていくよ」
「え?いいよ、そんなの…」
 ふと思い付いたように言い出してきた綾瀬くんの好意には勿論有り難がったが、私は丁重に断った。私自身が家まで持ちそうにない、なんて口が裂けても言えない事だけど。
「どうして?」
「だって…綾瀬くん、遠道になるし」
 何も理由はそれだけじゃない。私は綾瀬くんといるだけで緊張する。それ以上に家に着くまで無事に会話できる自信がなかったのだ。もしかしたら綾瀬くんをがっかりさせてしまうだけかもしれないし、私がつまらない女だって綾瀬くんには知られたくなかったから。
「そんなのいいって。俺が好きで申し出ているんだし、一々気にするな」
 何も私の気持ちなど一切知らない綾瀬くんは呑気に笑って私の背中を叩いてきた。

 雨は止まない。学校を出た時には少しだけ落ち着きを見せているようにも感じたが、だからといって傘を差さないまま歩けるようなものでもなかった。今や一面別世界となっている空間、自分の目には見えない遠いところから全体に降ってくる雨が傘にぶつかってゆっくりと流れるように濡れているアスファルトの上に静かに落ちていく。
「…………………………」
「…………………………」
 沈黙。雨が降り続ける音を耳にしながら一切喋る事はなかった。今は何という気まずい空気。学校にはまだ誰かがいたから良かったものの、いざこのように二人きりになってしまうと私は彼と一緒にいる事に緊張してしまって一体何を口にしていいのか判らずに黙り込んでしまった。まだ綾瀬くんがさっきみたいに何かしら喋ってくれたらこっちも大分助かっていたのかもしれないが、一方で彼もまた学校を出てから急に大人しくなって一切一言も喋らずにずっと前を見て歩いていた。彼が今、何処を見ているのかは私も知らない。
 私は結局綾瀬くんと一緒に帰っていた。綾瀬くんの存在はただでさえ大きな爆弾みたいなものでもあるし、私はそこで何度も断ったが、意外と綾瀬くんは強引で、全然一歩も身を引いてくれそうになかったから結局私が負けてしまって傘に入らせて貰う事にした。
 今日は傘を持っていなかったし、綾瀬くんが手を差し伸ばしてくれた事で帰りが助かったりもしたが、私はさっきから視線が落ち着かなかった。こんなにも近くで見てしまうともしかしたら視線に気付かれてしまうかもしれないが、私はそっと彼を盗み見ていた。
 綾瀬くんが本当に私と同い年であるとは思えなかった。同じ人間なのにただ親が違うだけでどうしてここまで顔の作りそのものが違ってくるのだろう。綺麗な横顔が私の視界に入ってくる。そして何度もこれが現実である事を実感させる。綾瀬くんはただ黙って立っているだけでも人目を惹くルックスをしていて、そこで浮いた噂も少なくなかった。真実なのか否かは判明されていないので今も謎に包まれているが、綺麗な人との交際の噂が多く、同じ学校であるならば色々なところから勝手に彼の噂は耳に入ってくるし、ただそれだけ聞いているだけでも彼が遊び人っぽい印象も捨てきれなくはなかったが、この事実を知りつつも私が初めて好きになった人だった。そりゃあ幼稚園の頃に何々くんが好きって言ったりもした事があったが、ちゃんと異性として意識したのは綾瀬くんが初めてだ。
 それなのに今では私が独り占めしているんだ。付き合ってみたいなぁ、って憧れ程度で口にした友達がいる中でそれを私が実現させた。特にこれといって凄いところなどなく、可もなく不可もなく平凡すぎる私でもあるのに…。まだ私に何処か飛びぬけて凄いところがあればそれ程不思議には感じなかっただろうが、今まで噂になってきた人達と私を比べれば明らかに不釣合いだ。過去に私みたいな人が一人でもいたらそこまで思わなかっただろうが、逆にどうして? と私には疑問が増していくばかり。この差が見て明らかであり、歴然でもあるからこの現実を突き付けられる度に私は自信が失ってしまうばかりだった。

 一方、話は変わり、綾瀬くんは私のゆったりとしたスピードに合わせて歩いてくれていた。一つの傘を二人で使用している事もあるだろうし。綾瀬くんは何も言わないけど、心の中では遅い奴だな、って思っているのに違いない。私がとろとろしているから。
 もしも雨が降らなければこのようなきっかけすらなかったのかもしれない傘、綾瀬くんは私が使うよりも大きな傘を手にしていた。綾瀬くんはスポーツをしているし、身体が大きいからこのような傘が丁度いいのかもしれない。私には大きすぎる傘でもあるけれど。綾瀬くん一人だと余裕でもここに私が入っては二人だとちょっと狭い感じがしてくる。
「片桐さんさぁ」
 この長く続いていた沈黙から遂に耐え切れなくなったのか、突然綾瀬くんが口を開いて話し掛けてきたから私は不意を突かれて思わず驚いてしまい、声を揚げてしまった。
「な、な、何!?」
「何もそこまで驚かなくても。片桐さんの家、知らないからちゃんと教えてね」
 この様子だと本当に家まで送ってくれるようだ。雨さえ降らなければ今直ぐここから逃げ出したい気持ちなのに容赦なく降ってくる雨がそうさせてはくれない。
「う、うん、解った」
「それ、と、もうちょっと寄った方がいいよ」
 私は綾瀬くんと一緒にいるだけでも恥ずかしくて、ぎりぎりまで距離をとって逃げようとしていたが、この狭い空間では却って限界があり、肩に当たってぽたぽたと濡らしている雫に気付いたのか、肩に手を触れられてぐっと引き寄せられた、それは綾瀬くんの方に。
「あ、綾瀬くん…」
 傘に守られた空間の中で更に距離が縮まったから未だに落ち着きを見せようとしてくれない私の鼓動は最高潮に達した。胸がきりきりと痛んできて苦しくなってくる。
「もっと内に寄らないと濡れるし」と、ここでも尤もな返答が返ってくる。
「そ、そうだね」
 一方では冷静なのに慌てているこっちが恥ずかしいぐらい。もう頭の中がごちゃごちゃになって大変だというのに、綾瀬くんは悪魔だ。綾瀬くんはこのように糸も簡単に私の心を乱してくるのだからもう大変だった、いつも以上に。私は綾瀬くんにこの気持ちを気付かれたくなくて平静を保とうと努力しても結局彼が一瞬で目茶苦茶にしてしまうのだ。
「片桐さん」と、また私を呼んでくる綾瀬くんの声が静かに降ってきた。
「綾瀬くん、何?」
 もうこれ以上話し掛けて欲しくないし、何もして貰いたくもない。だからといってそれを止めるような権限など私には一切なく、今もドキドキする鼓動を隠しながら訊いてみた。
「ただ呼んでみただけ」
 彼は何処か嬉しそうににこにこと微笑んでいた。特に大した意味はなかったらしい。
「もう…何かあるかと思ったじゃない」
 こっちはさっきからドキドキしているんだから。隣に綾瀬くんがいるだけで、一緒にいるだけで私はもう…。綾瀬くんは何とも思っていなくてもこっちは別なんだよ。
「いいじゃん、呼ぶぐらい」
 唇を尖らせて綾瀬くんは不満そうだった。ただ呼ぶぐらいなら何も悪い事ではないが、そもそも相手が悪かった。綾瀬くんじゃなければここまで感情が乱れる事もないだろう。
「そう言えば考えてみるとさ、今日が初めてだよね?」
「初めてって何を?」
「片桐さんと一緒に帰るのって」
「…………………………」
 私は何も言えなかった。ただこの場合、何て言ったらいいのか分からなかった。
 私達は一応付き合っているのに何故かこの日までカップルらしい事を一つもしていなかった。例えばこのように好きな人と一緒に帰る事とか、デートをするとか。まだ一週間なんだからないといっても差ほど不思議な事でもないが、学校で話す事も殆どなく、今も付き合う以前と何ら変わりない状況であるから友達には未だにただからかわれただけじゃない? なんて言われる事も多かったりするけど、綾瀬くんは期待の星でもあるし、いつも部活で遅くまで頑張って忙しい事もあって帰るタイミングがなかなか見付からないのだ。
 それに綾瀬くんだって私の事が好きで付き合っている訳じゃない。その場で振れば私が傷付くのを恐れて表面上だけの付き合いをしているだけだっていうのも私は気付いていた。
 綾瀬くんは変に優しい。別に好きでもなければその場ですぱっと切ってしまえばいいのに。その方がまだ傷も浅くて済む。なのにこのように付き合ってしまえばその分相手への想いも膨らんでいっていざ関係が終わってしまった時には余計私が傷付くだけなんだよ。
 私はできるものならこの想いをずっと隠していたかった、綾瀬くんが好きだっていう気持ちを。あの時は付き合える、なんてそのような感情など一切持ってなく、彼の取り巻く環境を知っていたからこそ第一告白したい考えがあったにしても絶対に振られる、と思っていたから好きな人に振られて傷付くぐらいなら直接本人には明かさずに秘めたままにした方がいい、と考えて私はあの日まで逃げ続けていたが、私の秘めたる想いを知る友達に騙されて綾瀬くんを呼び出していたのだ。片想いの本人を目の前にしてパニックになってしまった私は勢い余って告白してしまい、今現在に至っているという訳なのだが。
「もしかして風邪とか引いているの?」と突然突拍子もない事を綾瀬くんは口にしてくる。
「…かぜ?」
「ちょっと傘、持っていて」意味が理解できずにきょとんとしている私に傘を渡してきたと綾瀬くんは、「だってさ、顔が真っ赤になっているし」と突然手を伸ばしてくると私の頬に綾瀬くんの大きな手が触れてきたので、私の身体に大きな震えが走ってきた。
「綾瀬、くん…」
「ほら…熱い。さっきから気になっていたんだけどさ、風邪、引いていないの?」
「…………………………」
 綾瀬くんは何も知らない。私が熱くなっているのもここに綾瀬くんがいるからで、こんなにも近い距離でぴったりとくっ付いて歩いているから一向に熱が引いてくれようとしないのだ。一度高まった熱は何処にも発散させられずに溜まっていくばかりだった。
「……全然元気だよ。本当に私が風邪を引いていたらこうしてぴんぴんしている事もないだろうし、今頃部屋で寝ているから。熱く感じるのも綾瀬くんの手が冷たいからだよ」
 身体から発せられる肌の体温とは反比例するように綾瀬くんの手は酷く冷たかった。熱くなっている身体には綾瀬くんの手が冷却代わりとなってひんやりとしていて気持ちいい。このまま体内に残る有り余っていた熱は無事に引いて綺麗になくなってくれるだろうか。
「ああ…。よく手が冷たいって言われるんだ。知っている?手が冷たいと心も冷たいって」
「知っている。 けど…綾瀬くんは優しいよ」
「どうして片桐さんがそんな事を知っているの?」
「そんなの簡単じゃない。綾瀬くんが優しくなかったら傘を忘れた私を入れて遠道になるのを解っておきながら態々送ってくれないと思うし、私が玄関で困っていても無視する筈だよ。そ、それに優しくなかったら好きでもない私と付き合おうなんて思わないから」
 自分で口にするのは正直辛かった、目の前のこの現実を認めてしまうそうな気がして。もしかしたらこれがきっかけとなってこの関係が破綻してしまう恐れもあったりするから。
「片桐さんは何か勘違いしているね」と綾瀬くんは小さな溜め息を洩らす。
「何も私は勘違いしていないわ」
「しているよ、明らかに。片桐さんの勘違い」
 それでも真っ向から否定してくる綾瀬くん。私の言葉を簡単に曲げてくる。
「していないわ。だって綾瀬くんが付き合ってきた人達と明らかに私は違うんだもの」
 綾瀬くんは何も知らない、と思っているのだろうか。だとしたらそれは間違いだ。私だって何も知らないで言っている訳じゃない。同じ学校にいれば嫌でも耳にしてしまう現状。まだ私が隣に立っても恥ずかしくない魅力が一つでもあったら何もマイナスな考えを持たずに済んだのかもしれないが、こればかりはどうしようもならない部分だった。
「やっぱりしている。あれはただの噂。確かに告白された事はあるけれど、何も付き合った事実は一つもない。信じられないのかもしれないけど、片桐さんが初めてだよ」
 全てを知るのは本人のみ、それが事実なのか否かも全て。何処が発信源なのかも判らない噂ばかりを鵜呑みにして信じきっていた私はいざ事実を聞かされて目が点になった。
「えっ…嘘…」つい声に出してしまう心の声。
「嘘、じゃなくて本当です」
「ご、ごめんなさい。で、でも、友達から、とかは?」
 すっかり動揺中な私はここで普通に会話している事でさえもいっぱいいっぱいだった。
「それはない。俺、そこまで優しくないから。そういうのって下手に相手を期待させるだけだし、その後の保証はできないから。友達からの関係から始まっていつか本当に好きになれればいいけど、好きになれなかったら余計相手を傷付けるだけになると思う」
「じゃあ…私は?」
 一体何なの?今さっき言った言葉が本当だとしたら私は綾瀬くんにとって何なのだろう。今まで一切誰とも付き合わなかった綾瀬くん。噂は単なる噂でしかなかった。なのに私からの返事は断らずに受け入れてくれた。だとしたら綾瀬くんにとって私は――。
「片桐さんって意外と鈍感だね」とまた漏れた溜め息。「答えなんか一つしかないでしょ」
「そ、それは大きなお世話です!」漸くその意味に気付かされて私は強く反論した。「仕方ないでしょ。だ、だって私はまだ恋愛一年生だし、そういう事に慣れていないもん」
「それは俺も同じ。本当に相手を好きだって思わなかったら俺だって付き合わないよ」
 綾瀬くんが笑うと大きな背を屈んできていつもより大きな傘を持たされていた私にゆっくり顔を近付けてくると肩に手が寄せられて傘に隠されながら私達は初めてのキスをした。
「一緒に少しずつ歩んでいこう」

 今も静かに降り続ける雨の中で。
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テーマ : 日記 - ジャンル : 日記

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